最終処分場は地域住民の理解が何よりも大切

家庭や企業から排出されたゴミは、焼却や破砕、あるいはリサイクルなどで、さまざまな中間処理をほどこされます。しかし、最終的にはかならず、処理できない灰や破片などが残ってしまいます。

最終処分場は、そのような廃棄物を最後に埋め立てる施設のことです。

といっても、ひとつの土地に埋め立てることができる容量には限界があります。ある程度の廃棄物を埋め立てたら、いずれは閉鎖しなければいけません。それでも、現代社会ではゴミの量はますます増えています。リサイクルなど、ゴミを減らすためのさまざまな取組は行われていますが、あくまでペースを遅くするにすぎません。

日本の埋立地は、確実に年々その寿命を短くしています。

平均では、およそ20年弱という時間が残されています。この短い間に、私たちは少しでも多くの最終処分場に用いる土地を確保しなければいけないのです。しかし、現在ではそのこと自体がとてもハードルの高い課題となっています。

なぜなのでしょうか。

ひとつには、最終処分場に対するイメージの悪さがあります。土壌汚染や水質汚染などの不安から、多くの地域住民が反対運動を行っています。

実際に、考えてみてください。もし、自分の住む地域に最終処分場の計画が持ち上がったとしたら。やはり、反対の行動を取る人も多いのではないでしょうか。

しかし、そこでさらに考えてほしいのは、最終処分場はかならず必要だということです。私たちが毎日出しているゴミは、今でも日本のどこかに埋め立てられています。法律上の問題でいえば、たとえ反対があったとしても、最終処分場を建設すること自体は可能なのです。

それでも、地域住民に不安を抱かせたまま建設するわけにはいきません。

じつは、最終処分場が悪いイメージを持たれるのは、かなり古い最終処分場が原因となっていることがほとんどです。過去のトラブルを反省し、現在の最終処分場は、高い水処理技術や遮水技術によって高度な安全性が確保されています。これから新設される最終処分場に、かつてのような汚染問題が起こることはまずないといってよいでしょう。

大切なことは、それを地域住民の方々によく理解してもらうことです。そのため、業者はつねに建設に関する情報を公開し、それに対して近隣住民が意見を述べる機会を設けることが、法律によっても定められています。

今後は、計画段階から地域住民に参加してもらうなど、より密接なコミュニケーションも必要となっていくでしょう。環境アセスメントを行ったうえで、自然環境や景観の維持、そして防災などにも徹底的に配慮していかなければいけません。

一方で、みなさんの側でも積極的に、最終処分場について知っていただきたいのです。多くの最終処分場では、一般の見学者を受け入れています。そこで、実際に最終処分場がどのように運営されているのか、また地域とどのように付き合っているのかを、自分自身の目で確かめていただきたいのです。

最終処分場は、けっして悪いものではありません。自分自身の問題として、そして未来への継承を考え、業者と住民がともに手を取り進んでいきたいものです。