最終処分場が足りなくなったらどうなる

日本では中間処理施設や最終処分場不足が問題になっています。
経済社会の発展や人口増加に伴う廃棄物の増加だけでなく、廃棄物処理法が改訂されたこともあって、改訂後の条件を満たした適切な処理が行える施設が減少していることも事実です。

それに、処分された廃棄物の無害化には十数年から百年前後もの長い時間がかかる場合もある上に、無害化が終わるまでその土地は使用できません。
この状況が続くことで、再利用や再資源化が不可能である廃棄物を処理しきれないという事態に陥ってしまうでしょう。
そして処分場の設備による適切な処理作業ができないことによって、廃棄物の不法投棄や不適切な焼却処分の増加も懸念されます。

もし、そのような事態になった場合、私たちの暮らしに様々な悪影響を及ぼす恐れが出てきます。
不法投棄された廃棄物に有害物質が含まれていたとしたら、その物質が土壌や地下水などを汚染し、自然環境に悪影響を与えてしまいます。これによって、生きていく上で必要不可欠な水や食の安全性が脅かされてしまいます。

そして不適切に焼却処分されてしまった場合は、処理の際に発生した煙や粉塵に含まれる、二酸化炭素やダイオキシン類が広範囲にわたって拡散されてしまいます。
ものを燃やすことで発生する二酸化炭素は地球温暖化の原因になる物質であるため、廃棄物を増やすことは結果的に地球温暖化にもつなげてしまうと言えるでしょう。

そしてダイオキシン類は環境ホルモンの一種であり、影響を受けた生物に生殖障害を引き起こすだけでなく、生殖系の発がん率をあげる原因にもなる危険な物質です。
このことから、廃棄物の不適切な処理は、地球上で生活する私たち人間を含めた生態系の維持を危険に追いやってしまうことが分かります。
これらの状況が深刻化してしまったとしたら、安全な食料や飲み水の確保など、生きていくために必要な活動も十分にできないため、最悪の場合その土地に住めなくなることも考えられます。