海上にある最終処分場の可能性と期待について

各家庭から出されているごみとレストランや小売店などから出されているごみは一般廃棄物と呼ばれます。それらを合わせると、国民一人当たり約1㎏のごみを毎日出していることになるのです。一般廃棄物のほとんどは自治体によって回収されて処理されます。

毎日回収されているごみの87%くらいはリサイクルに回されます。そして、残りの13%くらいが残さや不要物として残るといわれています。れらの残った廃棄物は主に最終処分場という施設に埋立処理されるのです。

最終処分場は廃棄物を安全に埋める施設で,お椀型のような形になった封じ込め用の施設なのです。このような形状のものは山の谷間に作りやすいため,処分場の多くは山間部に作られるのです。日本には内陸処分場の他、江戸時代から続いている埋立などで、海につくる処分場、海面最終処分場もあります。
我が国の陸上の処分場の平均的な大きさは2万立方メートルくらいで、小規模なものですが、海面処分場は約20万立方メートルもある大きなものです。処分場を作るのに必要な経費は、埋め立てられる廃棄物1立方メートルで海上の処分場は6,000~15,000円くらいですが、陸上の処分場は10,000~40,000円となっていて会場の方が割安です。

将来、ごみの減量化や再使用、再利用がどれだけ進んでも,人間がごみを捨てなくなるということはなく、製品を作った時に出てくる廃棄物の全てを再利用することは困難といわれています。そのため、廃棄物を埋め立てて処分する場所を確保する必要がありますが、できるだけ安全に、より経済的に処分場を確保するための一つとして海面最終処分場という形態のもつ可能性も探る必要があります。

海面最終処分場は世界的にも珍しいといわれ、本格的な設置活用がおこなわれているのは日本だけといわれています。これは、日本が海に囲まれている国というだけでなく、海洋土木技術において高い水準を有しているということも理由です。また、一般廃棄物に対し、約40の海面最終処分場があり、陸上処分場は1,800ヵ所くらいなので数としてはとても少ないのですが、一つ一つの処分場が大きく、全体の4分の1の容量の廃棄物を埋めているのです。最終処分場建設は各自治体にとって十数年から数十年に一度という機会になり、今後、海を活用した最終処分場の建設という可能性には注目が集まるといえます。
このままごみ排出量が減少し続けて、リサイクル率が向上し続ければ、海面処分場だけで廃棄物を受け入れることができる日がやってくるかもしれません。