最終処分場にはかならず寿命がおとずれます。それ以上廃棄物が埋め立てられなくなったら、そこを閉鎖しなければいけません。もともと、最終処分場というのは廃止することを前提として建設されるものなのです。
では、最終処分場が閉鎖されたあとの土地はどうなるのでしょうか。
地域住民の方にとって、それこそがもっとも関心の深い問題でしょう。住民にとっては、ゴミの埋め立てが終わったからそれでおしまい、というわけにはいきません。
最終処分場の跡地は、これまでにもさまざまな形で幅広く利用されています。
たとえば、緑地や公園、広場、野球場やゴルフ場、駐車場、そして資材置場、土砂仮置場、倉庫や清掃工場、さらに海面最終処分場では空港などにも用いられています。
ただし、このようにほかの目的で使用されるようになるには、埋め立てが終わってから2年以上の観測期間を経て、十分に安全性が確認される必要があります。
埋立地に埋め立てられたごみは、長い時間をかけて分解されていきます。この分解がほとんど行われなくなることを、安定化といいます。安定化したかどうかは、土地から浸出する水や発生するガス、あるいは温度などからチェックすることができます。
一度は安定化した土地でも、大規模な掘削を行うことで周囲の地下水が汚染されたり、空気と混ざってふたたびガスを発生したりすることもあります。そのため、土地を大きく変化させるような工事にはあまり向いていません。
公園や広場、グラウンドなど平坦な施設に多く用いられているのには、そのような理由があります。
また、埋め立てが終了してから完全に廃止になるまでの期間でも、健康や環境に問題がないことが確認されれば、暫定的に利用することもできます。
このような跡地の利用は、単に土地を有効活用することだけが目的ではありません。はじめから跡地利用を考えた運営を行うことで、閉鎖したあとにも維持管理をしなければいけないというコストを省くことができます。そして何より、地域住民に対して安全になったことをアピールし、土地を還元するという意味があるのです。
そのため、跡地の利用については、あらかじめ最終処分場を建設する前から、計画の一環として組み込まれているケースが多くなっています。
このように土地を再利用することは、それ自体がある意味、最終処分場のリサイクルとも考えられます。なかには、地球温暖化対策として、ソーラーシステムやバイオマスエネルギーなどの発電施設として利用されるケースもあります。
まさに、循環型社会の象徴ともいえる存在でしょう。